不登山、不知天之高也。
不臨谿、不知地之厚也。
不聞先王之遺言、不知学問之大也。
己酉之榴月 須静主人録 印「貫名苞印」 印「君茂氏」
本紙寸法128mm×29mm
己酉は、 嘉永2年(1849年)。菘翁72歳。
榴月は、五月の別称。
山に登らざれば、天の高きを知らず。
谿に臨まざれば、地の厚きを知らず。
先王の遺言(いごん)を聞かざれば、学問の大なるを知らざるなり。
(「荀子」勧学篇第一)
長いこと掛けっぱなしの軸である。かわいそうに。虫食いもある。しかもほこりまみれ。季節に関係のない、いい言葉だから、常に掛けておきたい気持ちは分かるけど・・・・・・。
細部にまで神経の行き届いた筆で、いかにも菘翁らしい行書作品。最晩年の草書に妙味があると、多くの人は言うけれど、tianpian は本作のような行書が好き。